5つ以上、書きなさい

社会科の授業で写真を見せ、子どもに「これ何だろうなあ?」「どうしてかな?」という問題を見つけさせたり、また、「そうだったんだ!」という答えを見つけさせたりすることがあります。
その時、漫然と「写真を見てご覧なさい。」と子どもに指示しても、あまり効果的ではありません。気の利いた子が、ささっと気の利いた答えを言って、授業が進むだけです。
ほとんどの子は、ぼーっと写真を眺めているだけになります。
そんな時、万能な指示のやり方があります。
それは、

「写真を見て、わかったこと、気付いたこと、思ったことを5つ以上、ノートに書きなさい。」

というものです。
この指示の前半部分は、「わかった!」「こんなのある!」「何してんだろう?」というように、子どものあらゆる判断、気付き、疑問、感想を引き出すものになっているすぐれものです。
ただ、今回のコラムは、この前半部分ではなく、後半部分の「5つ以上」という部分にスポットを当てていきます。
(もちろん、「5つ」というのは「8つ」でも「10個」でもよいのです)

「5つ以上」と言われると、かなりの強制力が自然に働きます。
「一番よい答えを一つ」ではないのです。
「5つ以上」と言われると、「やばい、書かなきゃ」となります。それも、「1つではなく5つ」なのです。
ということは、「数を出さなくちゃいけない」=「どれがよいのか、迷っている暇はない」ということになります。
しばらくすると、先生=私は「もう、当然、3つくらい書けましたね」なんてプレッシャーをかけてくるのです。(私って、いやな先生かも!?)
すると、「こんなくだらないのでいいのだろうか」「こんなの書いたら笑われないだろうか」なんて悩む暇がなくなります。
「5つ以上」という「5つ」という数字に向かって、ひたすらがんばることになります。
こうして、無理やり思考することになるのです。
でも、そもそも、無理やり思考するのが「勉強」ですよね。

さて、
こういう無理やりアイデアを出す思考法に、「マンダラート」があります。
ウィキペディアを見ると、

マンダラートは、発想法の一種。紙などに9つのマスを用意し、それを埋めていくという作業ルールを設けることにより、アイデアを整理・外化し、思考を深めていくことができる。今泉浩晃によって1987年に考案された。

とあります。
少し具体的に言うと、3×3の9マスを書き、その中心のマスに考えたいことを書き込み、周りのマスにはそれに関連する事柄を埋めていくのです。全部埋めるという強制力があるため、無理やり考えていくことになり、アイデアが作られたり、まとまったりしていきます。
先の「5つ以上」というのも、同じことだと思います。強制力があるから、考えるのですね。

時折でよいですから、授業で、ぜひ、数字を入れてみてください。
「休み時間まで、あと3分です。さっさと終わらせましょう」なんてのは定番かもしれません。