パーソナルスペース

先日、ブログに書いた放課後キッズクラブは、夏休みになって通ってくる子どもたちが急増していました。これって、学校とは逆の現象です。
おまけに、普段は「放課後」だけなのに、朝の9時から子どもたちが通ってくるのです。
たくさんの子どもたちで、小さなキッズクラブの部屋はいっぱいでした。普通の教室の大きさの部屋に、60人が一緒に遊んでいると思えば、どれだけいっぱいなのか想像がつくと思います。
もちろん、エアコンはありますが、熱気でむんむんしていました。

指導員さんにお話を聞くと、いつにも増してトラブルが多いとのことでした。長い時間一緒にいるのですから、トラブルが増えても当然とは思いますが、それでも、違う原因があるのだと思います。
それは「パーソナルスペース」の問題です。

「パーソナルスペース」(personal-space)とは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことで、パーソナルエリアとも呼ばれるものです。違う言い方をすると、コミュニケーションをとる相手が自分に近づくことを許せる、自分の周囲の空間(心理的な縄張り)を指します。
縄張りですから、ここに他人が侵入してくると、人は不快感や嫌悪感を感じます。防衛本能が働いている状態になるのです。

アメリカの文化人類学者のエドワード・ホールは、パーソナルスペースには大きく分けて「4つのゾーン」があるとしました。
・密接距離0~45cm
恋人など親密な人との距離。親しい人同士なら不快にならない。
・個体距離45~120cm
友人などとの距離。普通に話すならこのくらいの距離が良い。
・社会距離120cm~360cm
ビジネスに適した距離。公式な商談や面会はこのくらいの距離感が良い。
・公衆距離360cm~
公衆の前で演説するときの距離。個人的な関係は成立しにくい。

逆に言うと、もし親密でない人が、密接距離0~45cmに入ってきたら、不快になるということです。
キッズクラブの状態は、まさしくこれでした。相手との距離が近過ぎるのです。だいたいに、小さな子は相手との距離が短いものですが、それでもあの状態は近すぎます。
これでは、トラブルが増えるのも仕方ないかなと思います。
一時的に、空き教室やホール・体育館を借りたり、廊下を使ったり?して、空間を確保する方策を講ずるよう、指導員さんにアドバイスしました。