「前へならえ」でパーソナルスペースを教える

昨日のブログで、 「パーソナルスペース」の話をしました。
それは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことです。自分の心理的な縄張りです。その縄張りに入られると、不愉快に感じ、不安に感じ、それがもとでトラブルが起こることも多いのです。
まぁ、猫が自分の縄張りに他の猫が入ってくると、ミャーと叫んで喧嘩するようなものです。

さて、発達障害の子は「パーソナルスペース」が近いということが、研究でわかってきました。

「自閉症者は対人距離を短く取る」
東京大学  浅田晃佑(東京大学先端科学技術研究センター 特任研究員) 長谷川寿一(東京大学大学院総合文化研究科 教授) 熊谷晋一郎(東京大学先端科学技術研究センター 准教授)
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/pressrelease/pdf/280128release_rcast.pdf

自閉症スペクトラム症の子は、対人関係において不快に思う距離が極端に短いのです。そのためコミュニケーションをとる際に、どうしても距離が近くなってしまうのです。
ところが、一般の子はそんなに近づかれると不愉快になるので、つい手を出したり、声を荒げたりするのです。あんなにくっつかれたら、やはり嫌な感じなると思います。
ですから、そんな発達障害の子に、「パーソナルスペース」について教えていかねばなりません。
そんな時に、昔から日本で行われてきた「前へならえ」が役立つのです。

「前へならえ」とは、朝礼などでクラスごとに並んだ際、前の子との間をあけるために、腕を伸ばす動作のことです。
先生が「前へならえ」と言うと、みんな一斉に腕を伸ばます。すると、ずるずると後ろに下がらざるを得なくなります。
これって、違った見方をすると 「パーソナルスペース」を確保しているのです。
集団で集まった時に、「前へならえ」をしてから座らせるのは、とても理にかなったことなのです。

発達障害の子も含めて、子どもたちには、
「お友達と、心から安心してお話できる距離っていうのがあるんだ。 『パーソナルスペース』と言います。その距離は「前へならえ」の距離です。それよりも近寄ってしまうと、嫌だなと感じてしまいます。気をつけてくださいね。」
などと、機会をとらえて話すとよいと思います。