水銀体温計の回収

先日、通りすがりに町内会の掲示板を見て、はっとしました。
それは、次のようなポスターが貼ってあったからです。

水銀式の体温計。確かに、今は見かけなくなりました。そう、水銀の元の高さに戻すために、何回も振りましたね。
水銀式の血圧計。多くの方は、お医者さんに診察してもらう際に、シュシュシュシュと空気を入れて測ってもらったと思います。少し前まで、学校の保健室にあって、私は自分で自分の血圧を測っていたことがあります。
家に帰ると、すぐに水銀式の体温計がないかどうか調べてみました。引き出しの奥をのぞいてみてもありませんでした。

でも、欠陥商品のリコールでもないのに回収するのか、調べてみました。
すると、横浜市の資源循環局のホームページに、Q&Aが掲載されていました。
http://www.city.yokohama.lg.jp/shigen/sub-shimin/dashikata/suiginyokuarushitumon.pdf

Q16 なぜ、回収事業をやるのか。
A 平成29年8月に発効する水銀に関する水俣条約に基づき、世界各国で地球的規模の水銀 汚染の防止を目指した取組を今後さらに進めていきます。また、同条約の採択・署名を受け、日本では平成27年に「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」が公布され、水銀製品のより確実な回収と適正な処理が求められるようになりました。水銀体温計等の水銀含有製品そのものは、人体や環境には影響は及ぼしませんが、破損により水銀が飛散・流出すると様々な影響を及ぼす恐れがあるため、集中的に回収し、より確実に適正処理をすることが当事業の目的です。
要は、「破損により水銀が飛散・流出すると様々な影響を及ぼす恐れがある」から回収するのです。

で、どんな恐れがあるのか、これも調べてみました。
すると、「日本中毒センター」のホームページに、水銀の毒性についての記述がありました。
http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf

体温計の水銀は金属水銀で、かつて水俣病で問題になった有機水銀化合物とは違います。
■毒性
金属水銀は消化管からほとんど吸収されないので、中毒の心配もありません。
こぼれた水銀を放っておくと蒸気になり、吸入すると毒性がありますが、部屋の通気性をよくしていればほとんど心配ありません。
■症状
通常、症状は出ません。蒸気を吸入すると発熱、寒気、頭痛、激しい咳、呼吸が困難な状態になります。
■事故が起こったら
飲み込んだ水銀は何もしなくても2~3日で便に排泄されますが、牛乳や卵白を飲ませるのもよいでしょう。
水銀の蒸気により症状がある場合やガラスもいっしょに飲んだ場合は受診します。人によっては、アレルギーによる発疹がでることがあるので、その場合は受診します。

水銀が蒸気になった場合、毒性が高いということなのです。
確かに、あまりあり得ない状況かもしれませんが、体温計を口にくわえて体温を測っていて、もし割れてしまったら、水銀式よりアルコール式の方が危険度は低いと思います。

ちなみに、この「水銀式の体温計などの回収」は、全国で行われています。