手を洗っているうちに、ファンタジーの世界に行く子

担任していた1年生に、給食前、ずいぶんと時間をかけて手を洗う子がいました。
自分が給食当番でない時ならまだしも、給食当番の時にも同じように時間がかかり、「もう、みんな並んでいるよ」などと声をかけないとずっと手を洗っているのです。
のんびりすぎて、私は、何度も心の中で「早くしてよー」と言っていました。

ところが、この前も紹介しましたが、今「うちの火星人」という本を読んでいて、そこに、この子のように時間をかけて手を洗う子のことが書かれていたのです。
私は、そうだったのかと納得しました。

そこには、ずっと手を洗っているので、後ろに長い行列ができること、そばに行って肩をとんとんして声をかけるとはっと気付くことが書かれています。
なぜ、ずっと手を洗っているのかというと、この子は水に触れているうちに「ファンタジーの世界」に入ってしまうのです。
自分が水滴になって、蛇口から、いろいろなところに旅してしまうと言います。

私はこのことを読んで、「同じだ!」と思いました。
きっと、あの子も、手を洗っているうちに、どこかの世界に行ってしまっていたに違いありません。

さて、
この本には、このような場合の手だても紹介されていました。

・注意が逸れにくい場所で洗わせる(外の景色が見えないような蛇口の場所等)
・「よく洗えているね」などと声をかけて、洗っていることに注意を向けさせる

加えて、もしかしたら、どのくらい洗ったらきれいになるのか把握できていないのかもしれないので

・50数えるまで洗おうなど、数や分数を提示する

手だても紹介されていました。

あの時、こんなことを知っていたら、イライラすることもなかったのにと思います。
皆さん、ぜひ、参考にして下さい。