消しゴムを使わない生き方

おはようございます、渡辺喜男です。

「フリクションボール」という消せるボールペンが、かなり使われるようになってきました。
非常に便利で、お使いの方もいると思います。

しかし、先日、フランス教育についての本の書評を読んでから、私は「フリクションボール」を使わなくなりました。
(岩本麻奈著「フランスの教育・子育てから学ぶ 人生に消しゴムを使わない生き方」私はまだ読んでいません。)

それは、フランスの学校教育では、消しゴムを使わせないというのです。

試験の答案を鉛筆で書いたり、消しゴムで消したりするのを認めません。万年筆を使います。一度書いたものは、棒線で抹消するのです。 もちろん、試験のときだけでなく、授業でノートをとるときにも万年筆です。

フランスでは、学年が上がるにつれて、まずボールペンで、学年が上がるにつれて万年筆で書かせるようにするといいます。

なぜ消しゴム使わせないのか?
日本の学校教育とは考え方が違うのです。

間違ったことを間違ったままにする。間違ったことをなかったことにしない。

フランスの教師は、棒線で消された間違いを見て、正解に行き着くまでの子どもの丸ごとの思考の過程を見るのです。

フランスの教師は、結果・正解だけを知りたいわけではありません。

さて、
間違いを消させない、消しゴムを使わせない実践といえば、向山洋一先生の算数の実践があります。

間違ったら消しゴムを使わないで、大きく×をつけ、違うところにもう一度計算をする、そのような実践です。

ところが、この実践は決してすんなりといきません。このことは、やってみた方なら実感できることだと思います。

子どもたちは、先生の指示に従わず、すぐに消しゴムで消そうとするのです。間違いを消さず×をつけてやり直すというのは、非常に非常に抵抗があります。

日本の子どもたちにとって、間違いをしたことはとても恥ずかしいことなのです。だから、なかったことにするために、すぐに消しゴムで消そうとします。 これは日本の大人も、同様だと思います。

フランスの子どもたち、いや、大人も、間違いをなかったことにせず、間違いも含めた思考の過程を大切にします。

このことは、あっちにいったりこっちにいったりする間違いも含めて「私の生き方」なんだ、あまりかっこよくないことも含めて自分なのだから大切にしようという生き方を示していると思うのです。