「協力して解決する力」は世界2位

日本の子供たちは、「協力して解決する力」は世界2位でした。
15歳を対象にOECDが行った「協働問題解決能力調査」の結果です。

国立教育政策研究所が出している調査結果の概要(2017年11月)
http://bit.ly/2DOabBm

1位はシンガポール、2位には日本、3位は香港でした。
各メディアは、相手を思いやり協力し合うという「和」を重んじる国民性が高い得点につながったと伝えています。

しかし、「2位ですごい」で終わってはいけませんね。
どんなテストだったのか、少し詳しく見ていきます。

まず、「協同問題解決能力」の定義です。

「協同問題解決能力とは,複数人が,解決に迫るために必要な理解と労力を共有し,解決に至るために必要な知識・スキル・労力を出し合うことによって問題解決しようと試みるプロセスに効果的に取り組むことができる個人の能力である。」

長すぎて、よくわかりません。
簡単に言うと、チームの関係性を維持しながら、1つの目標に取り組む姿勢・能力です。

ついで、「協同問題解決能力」を分解し、三つの主要な能力としてあげています。

(1) 共通理解の構築・維持
(2) 問題解決に対する適切な行動
(3) チーム組織の構築・維持

これなら、わかります。
おなじみの

plan
do
see
maintenance

です。

では、実際にどんな問題が出たのか、一緒に考えていきましょう。

問題の設定は、クラスメートと一緒に、架空の国の「地理、人口、経済」に関する問題を解いていくというものです。
チャットをしていて、4つのせりふから、適切と思うものを選ぶのです。

設定チャット
あかねさん:私は「人口」をやるわ。
三郎くん :ちょっと。それは僕がやりたかったのに。

ふさわしいと思うあなたのせりふを以下から選択
1 誰も僕にやりたい分野を聞いてくれたかったじゃないか。なぜ、みんなが先に選ぶんだよ。
2 みんな、なぜその分野がいいのか説明してくれるかな。
3 こんなことで時間を無駄にしちゃダメだよ。
4 あかねさん、三郎くん、分野を選ぶより、早く問題に答えてよ。

あなたは、どれが一番ふさわしいと思いましたか。

正答は、2なのです。
設問の意図は、こう示されています。
「正答は,生徒にチームリーダーの役割が与えられているわけではないが,二人の意見の調整を行うものである。」

この問いの日本の生徒の正答率は 57.0%であり,OECD 平均は 41.1%でした。
日本の子供は、異なった立場の人たちを調整する能力にすぐれているといえます。

次の問題です。

設定チャット
あかねさん:一つ正解したわ。この調子でいきましょう。

ふさわしいと思うあなたのせりふを以下から選択
1 時間がないよ。ちゃんと時間を無駄にしないようにしようよ。
2 「地理」の問題に答えた人。よくやったね。
3 「地理」の問題は他の人が答えたから、僕は分野を変えるよ。
4 僕が「地理」の問題をやるはずだったのに。みんな、自分が選んだ分野をやろうよ。

あなたは、どれが一番ふさわしいと思いましたか。
これって悩みます。私は、正直言って、2番か3番だと思いました。
しかし、正答は4なのです。

設問の意図は、こう示されています。
「コンテストが進んだことを賞賛したい気持ちにかられるかもしれないが,この問題では,チームで決めた合意(生徒が「地理」の問題に答えるというルール)が守られていないことに生徒が気付くかどうか,そしてそれに生徒がどのように反応するかを評価している。」

ちなみに、この問いの日本の生徒の正答率は 13.7%であり,OECD 平均は 17.5%でした。
平均より、低いのです。

周囲に気を配りすぎ、仲間の立場に配慮しすぎだと言えます。
でも、きちんと合意したことを守るよう促すことも、とても大切なんです。

私は、共通理解をモニタリング(点検)し,修正することが大切だと再認識しました。

子ども達と合意したクラスのルールについて、ときどき再確認し、不都合が生じたら修正するのも、「協働問題解決能力」なのですね。