仮説実験授業の板倉聖宣氏

仮説実験授業の提唱者である板倉聖宣氏が亡くなりました。
2月7日のことでした。

仮説実験授業は、私が若い頃、理科の授業を行う時、頼りにしていた授業方法でした。
本来は、「授業書」という授業テキストに従って授業を行います。しかし、仮説実験授業は、学習指導要領のカリキュラムに合わせて作られているわけではないので、私なりにアレンジして使っていました。

教師が問題を出し、子供に予想を立てさせ、理由をつけて論争させ、教師実験で結果を確認する。

そんな流れで、しばしば授業を行っていました。

どんな問題かと言うと、こんな問題です。

1 はかりに乗って体重をはかることにします。
はかりの上に普通にのった時と片足で立った時としゃがんでふんばった時では重さどうなるでしょう。はかりの上で動くと針が動いて正しくはかれませんから動かないようにしてはかることにします。 「科学的とはどういうことか」 板倉聖宣(仮説社)

ア、しゃがんでふんばった時が1番重い。
イ、両足で立った時が1番重い。
ウ、片足で立った時が1番重い。
エ、どれも同じで変わらない。

理科の3年の教科書にある問題ですね。有名な問題です。正解はどれでしょう。

板倉氏は「たいていの学級で、過半数の子供はアが正しいと予想します。」と述べています。
でも、実験すると「エ、どれも同じで変わらない」だということがわかるのです。

そして、この問題ができた人でも、次の問題だとたいていの人がひっかかると言うのです。

2 食事をする前に体重をはかったらちょうど51キロあった人が、ちょうど1キロだけ飲み食いして、その後すぐに体重をはかり直してしたら、その体重はどのくらいになっていると思いますか。

ア、52キロになる。
イ、51キロのまま。
ウ、51キロと52キロの間。

多くの人は、食べた分だけ重さが増える事はないと考えています。
でも、実験してみれば食べた分だけ重さが増えます。「ア、52キロになる」のです。

このような問題を、「重さ」の概念を体系的に理解できるように、いくつも組み合わせたものが「授業書」だったのです。

板倉聖宣氏のご冥福をお祈りいたします。