トラブル対応は「早ければ早いほどよい」

アメフト事件で日本大学の危機対応が問題視されています。
しかし、一緒になって悪口を言っても何ら生産的ではありません。日本大学の危機対応のどこがいけなかったのか、私たちはここからどんな教訓を受け取ることができるのか考えていくことが大切です。

トラブル対応は「早ければ早いほどよい」のです。
以下、「登校しぶり」の事例で説明していきます。

1 早期対応に勝るものなし
朝、職員室の電話が鳴ります。
「先生、Mが学校に行きたくないと言っていますので、今日はとりあえず休ませます。」
と、保護者からの言葉。「登校しぶり」の連絡です。
これに対してどう対応するかが、今後の分かれ道となります。。
実は、対応の内容よりも、

すぐに対応する行動のスピード

が大切なのです。

まずいのは、以下のような対応です。

「承知しました。事情を後ほどうかがいますので、こちらから電話いたします。」
と言って、電話を切ります。
放課後、時間を作って、電話をかけてきた家に電話をします。
保護者とのやりとりの中で、「友だちのSさんから無視されている。Mが声をかけても返事をしてくれない。それで、学校に行きたくない。」との情報を得ました。 「それでは、明日、Sさんから事情を聞いてみます。ですから、明日は元気よく登校させてくださいね。」
と保護者に依頼して、電話を切ったのです。
「やれやれ、事情がわかった。これで、Mさんは、明日はきっと学校に来るだろう。」
そして、その日の仕事を終えて、帰途に着きました。

翌朝、職員室の電話が鳴ります。昨日の家からです。
「先生、Mが今日もまた学校に行きたくないと言っています。Sさんがまた無視するんじゃないかと、ぐずるんです。ですから今日も休ませます。」

後手に回ってしまいました。

その日、Sさんに事情を聞いて、放課後に電話をします。
保護者は「わかりました。先生からのお話を○○に話します。明日、学校に行くよう促します。」
との返事。
しかし、翌日も登校しぶりは続いたのです。そして、ずるずると長期化していきました。

では、どうしたらよかったのでしょう。
こんな早い対応をすることで、事態を好転させることができるのです。

2 その日のうちに「安心させる情報」を届ける
登校しぶりの連絡を受けた後、「すぐに」指摘があったSさんからヒアリングを行います。
ヒアリングは、Mさんが学校に行きたくないと言っている理由は事実か?をまず聞き出すことです。これは、確実にやったことがあると回答がなければ、「ちょっと無視した」「一度だけ無視した」「自分ではそう思っていないが、Mさんはそう思ったかもしれない。」という「かすかな」レベルの回答を引き出すことでもよいのです。 その上で、「もうやらない。」「Mさんと仲良くしたい」などの言質をSさんから得ておくことが大切です。
これが「安心させる情報」になります。

この「安心させる情報」をもって、登校しぶりの子の家を訪問するのがベストです。
そして、訪問時刻のベストは、学校の休み時間です。
休み時間が無理なら、放課後です。
放課後に会議が入っていても、会議より優先して訪問します。学校に来ないことへの対応以上に重要なことはありません。

すぐに対応する行動のスピードがとてつもなく大切です。
トラブル対応は「早ければ早いほどよい」