「暗唱」の始めは「細分化」が必要

暗唱は、子供にとって非常に達成感のあるものです。
有名な詩文を、間違えず、つっかからず、何も見ずに空で読み上げる。
暗唱をやり遂げたとき、子供は「やったー」と飛び上がって喜びますし、周りで固唾をのんで聞いていた子たちは盛大に拍手をおくります。

しかし、一番最初から「この詩を覚えなさい」と子供に言っても、覚えられるわけがありませんし、暗唱自体をいやになってしまいます。

「細分化」が必要なのです。

「海雀」、それは、かつて光村図書の5年の国語教科書に掲載されていた詩です。

海雀 北原白秋

海雀、海雀
銀の点々、海雀
波ゆりくればゆりあげて
波ひきゆけばかげ失する
海雀、海
銀の点々、海雀

この詩を、暗唱とは何かも知らない、担任したばかりの5年生に教えるわけです。

以下、
変化のある繰り返しで、何度も読んだ後の指導です。

まず、
「海雀 北原白秋」
だけを覚えさせます。
題名と作者名です。
これなら、そんなに時間もかけずに、どんな子でも覚えられます。
一人ひとり、言わせてテストします。
言えなかったら再テストですが、2回やればクリアーします。

次は、少し長く、
「海雀、海雀
銀の点々、海雀」
を覚えさせます。
これも、そんなに時間はかかりません。
一人ひとりのテストも難なくクリアーできると思います。

最後は、難しくなります。
「波ゆりくればゆりあげて
波ひきゆけばかげ失する」
ここでも、かすかにつまったり、間違ったら不合格です。
しかし、合格するまで、何度もチャレンジしたことを称賛します。
最高でも4〜5回くらいチャレンジすれば、全員が合格すると思います。
私の場合はそうでした。
もし、難しい子がいたら、2行でやらずに1行でやればよいのです。

こうして、一つの詩を暗唱することができました。
このような細分化した暗唱指導を2〜3回やったら、詩を「丸ごと」暗唱指導していきます。
このときには、もう暗唱に慣れているので「丸ごと」詩を与えてもだいじょうぶです。