私は昨日公園へ行った。

若手の教師が主催する教育サークルがあり、月に1回、そこに顔を出して勉強しています。
先日、その教育サークルで、向山洋一氏の学級通信を使って詩の授業の分析を行いました。
木下夕爾の詩「小さなみなとの町」です。

私が気になったのは、詩自体ではなく、詩の分析に使ったであろうレトリックの授業です。
それは、「倒置法」と「体言(名詞)止め」です。

母とふたりで
汽車でとおった
小さなみなとの町

おそらくは、このような部分を分析するためのレトリックの授業だと思うのです。

それは、

私は昨日公園へ行った。

です。
これまで、

恵理子は昨日新潟へ行った。

という「国語の授業が楽しくなる」で向山洋一氏が紹介したものを、私は知っていました。
しかし、この「私は昨日公園へ行った。」は、4年生の子たちを相手に実際に授業したものだと思います。
言葉がシンプルで、ずいぶんさっぱりしています。

私は昨日公園へ行った。
これを、A私 B昨日 C公園 で終わる名詞止めにさせるのである。
Aはやさしい。ほとんどの子が正解である。「昨日公園へ行った私。」となる。
Bになると正解者と二名に激減する。ほとんどの子は「私は公園へ行った昨日。」という文を持ってくる。これが「私は公園へ行った。昨日。」という二つの文にするなら正しい。しかし、一つの文に続けるとどこかおかしい。この「どこか変だな」と思えるところが国語の力であるし、文のセンスなのである。当然ながら、本が好きで、よく読んでいる子が、文のセンスはある。その子たちは「は」を「が」に変えてきた。 「私が公園へ行った昨日。」である。
「アチャラ」 向山洋一

この授業は知的で、かつ、楽しいです。
ぜひ、やってみてほしいです。