おはようございます、渡辺喜男です。
今日は、「ストーンスープ(石のスープ)」というお話です。
旅人が小さな村にたどり着きました。空腹を抱え、旅人は食べ物を乞いながら民家をたずねますが、「食べさせるものはない」と断られてしまいます。
しかたがないので旅人は村の広場で火を起こし、持っていた鍋を火にかけてお湯をわかしはじめます。しばらくすると、そんな旅人の様子に興味をもった小さな女の子が近づいてきました。
「ねえ、なにしてるの?」
旅人はこう答えました。
「ストーンスープをつくるんだよ。でも、それには丸い石が必要なんだ」
それを聞いた少女は、どこからか丸い石を拾ってもってきました。
「これでおいしいスープができる。だけど、もっと大きな鍋じゃないと入らないなあ・・・」
これを聞いた少女は、家から大きな鍋を転がしてきました。母親もいっしょです。
鍋から湯気がたっと、何人かの見物人が集まってきました。そこで旅人はスープを味見します。
「悪くないけど、ニンジンがあればなあ・・・」。
すると、見物人の1人が一束のニンジンを調達してきました。旅人はニンジンを鍋に放り込み、再び味見をします。
「おいしくなった。でも、タマネギも入れると、もっと風味が出るんだけど・・・」
ここで、待ってましたとばかりにタマネギが届きます。タマネギを鍋に入れた旅人は、今度はこう言いました。
「お肉があれば、もっとおいしくなるんだ。野菜も、もっとたくさんあるほうがいいな。あと、塩とコショウはないかな?」
「それならうちにある!」
そう言って村人たちは、家からさまざまな食材を持ち寄り、次々に鍋に放り込みます。
セロリ、ジャガイモ、きのこ、豆・・・具材でいつばいになった大鍋はあふれそう。
ぐらぐら煮立ったスープからはおいしそうな匂いが漂ってきます。
旅人はもう一度味見をして「できた!」と宣言します。
たっぷりのスープは、村中の人がお腹一杯になるほど。
「こんなにおいしいスープが石からできるなんて!」
村中のみんなが驚きました。
「原話 ポルトガルに伝わる民話」
人々を「ワクワク」させて、共感と協力を得れば、何もないところからでも最高のものを作り出すことができるんです。
お互い、がんばりましょう。