「店先に椅子」作戦

私の住む地域は、神奈川大学と大きな商店街のある地域で、たくさんの飲食店があります。
そこは、家系の「六角屋」を始めとした様々なラーメン屋が店を並べる、ラーメン屋の激戦区でもあるのです。

数日前、そのうちのあるラーメン屋の店先に、椅子が3脚ほど並んでいました。
「あれっ、今まで椅子なんてなかったなあ」と思っていたら、その椅子に人が座りるようになり、後ろに人が並ぶようになりました。

この「店先に椅子」作戦、どのぐらいもつかわかりませんが、けっこういい作戦です。

店先に椅子を並べることで、この店は人が並ぶほどの人気店だということを、道行く人に訴えているのです。

調べてみると、このような「店先に椅子」作戦は、「ハーディング効果」なるものを使ったものだとわかりました。

ハーディング効果とは、行動経済学の考えの一つです。
それは、他の人と同じ行動を取りたいという心理のことで、ある事象に対して「合理的な行動を取る」ということよりも、むしろ「周りの人と同じ」行動を選択し、安心感を得たいという気持ちが強く出てしまうことです。

簡単に言えば、ハーディング効果=群衆心理です。
http://bit.ly/2DfUP8e

日本人は右へならえの民族ですので、自分で判断するよりも、みんなと同じ行動をとろうと判断してしまうのですね。

ちなみに、私はラーメンが好きではないので、この店に並ぶことはありません。

さて、学級において、この「ハーディング効果」はどのように活用したらよいでしょう。

山本東矢先生は、「雰囲気」という言葉で、この「ハーディング効果」を説明しています。

(引用ここから)
クラスをよくしようと思ったら、雰囲気をよくすることが大事です。
例えば、体育の時間や月曜日の朝会のときに、5分前になったら下におりる人の数が多いか少ないかで、
間に合う雰囲気になるか、間に合わない雰囲気になるかが決まってきます。

間に合う雰囲気
5分前…すでに教室をでて、外に行っている人の合計30人

上の状況ならば、5分前に教室にいる人は、2人だけです。
人が教室にいないので、いそがないといけないなあという気持ちが働きます。
そして、残りの二人も急いで下におります。

間に合わない雰囲気
5分前…すでに教室をでて、外に行っている人の合計10人

上の状況ならば、5分前に教室にいる人は、22人です。
人が教室にたくさんいますので、「まだ大丈夫だ」という気持ちが働きます。
だから、ゆっくりと動きますので、間に合わないでしょう。

教室に残っている人が多ければ、ゆっくりしていいやという雰囲気が生まれます。
教室に残っている人が少なければ、早くしなければという雰囲気が生まれます。
(引用ここまで)

「学級づくり」には、「多数派をつくる」ことがとても大切なのです。

(でも、職員間においては、意にそぐわない多数派の意見に負けてはいけません。)