陸前高田のガソリンスタンド看板

陸前高田のガソリンスタンド看板が撤去されるというニュースが流れました。
津波で建物などが流され、何もない平らなところを走る道路際に、すっくと立っていたガソリンスタンド看板です。

私は、2011年の夏に陸前高田を訪れました。
その時に見上げた看板は、津波によってパネルの一部が剥がれ落ちたり、めくり上がっていました。(添付した画像です)

「ああ、あんな高さまで津波が押し寄せたんだ」と、津波の押し寄せる様子を想像して、身震いしました。

震災後、看板のパネルには、「津波水位15.1M」と記した矢印が掲示されました。
パネルの剥落やへこみをそのまま残し、津波の脅威を伝えてきたのです。

その看板が道路のかさ上げ工事に伴って、撤去されるというニュースでした。

「水位15.1M」津波の高さと脅威伝えるGSの被災看板撤去へ(河北新報)
http://bit.ly/2EROwYe

私の勤務校では、年に1回、津波に対する避難訓練も行っていました。
私は、防災安全担当でしたので、津波の脅威を伝えるために、このガソリンスタンド看板の話をしていました。

先生は、震災の後、津波に襲われた陸前高田を訪れたことがあります。

陸前高田のまちは、津波によって、家も何もかも流されて、真っ平らでした。
あるのは、道路沿いにあるガソリンスタンドの高い看板だけでした。
その看板は遠くからでもよくわかるくらい高く、太い鉄の柱の上に掲げられていました。

近寄って、見上げて見ると、看板のパネルが壊れ剥がれ落ちています。
そして、そこには「津波15.1メートル」と書かれていたのです。
津波の時には、その看板が全部見えなくなりました。

15.1メートルとは、どのくらいの高さかというと、高い電信柱の同じ高さです。
15.1メートルとは、5階建てのマンションと同じ高さなのです。

津波のときには、この高さの「水の壁」が押し寄せてくるのです。
声をかけ合い、一目散に、あの高台に逃げるのです。

私は、こんな話をしていました。

この陸前高田のガソリンスタンド看板の話。
津波が押し寄せる高さの例として、よかったら使ってください。
考えられない高さです。