「代替わり」だけでない改元の理由

来年、天皇陛下が4月末に退位し、5月1日に新天皇陛下が即位、合わせて「改元」が行われることが発表されました。
ただ、即位した日に「改元」年号が発表されると、例えば、カレンダー作成に関わる業界は大混乱になるでしょう。
そこで、「改元」年号は、2018年中に発表が予定されています。

私たちは、元号のことを、天皇陛下の在位期間を表す年号だと考えがちです。
しかし、天皇陛下の在位期間=年号というのは、明治になり、一世一元の制になってからのものなのです。
明治になり、改元は、天皇の即位の時にだけ行われるしきたりとなりました。
これを、天皇の代替わりによって行われる「代始改元」(だいがわりかいげん)と言っています。

その他の改元は、代替わりではなく、次の三つの理由によって意図的に行われました。
一つ目の理由は、吉兆が現れたからです。
これを「祥瑞改元」(しょうずいかいげん)と言います。
二つ目の理由は、天災や戦乱などを止める・排除するためです。
これを「災異改元」(さいいかいげん)と言います。
三つ目の理由は、中国の予言学説で異変が起こるということを回避するためです。
これを「革年改元」(かくねんかいげん)と言います。

いやいや、これだと、改元を意図的に行ったというよりは、「祈る」ために行ったといった方がよいと思います。
それも、なんとかこの悪い状況を脱するために「祈る」のです。
実は、「災異改元」は改元の半数以上なのです。

例えば、「天明の大飢饉」と呼ばれる飢饉が起こりました。
wikipediaによれば、天明の大飢饉や内裏炎上などのため、「天明」から「寛政」に改元したとされています。

また、「明暦の大火」と呼ばれる大火災が起こりました。
これも、wikipediaによれば、明暦の大火などの災異のため、「明暦」から「万治」に改元したとされています。

何とかしたい、この状態を変えたいという、天皇を中心とする大いなる「祈り」「願い」が改元には込められているのです。