「字体」と「字形」

漢字が正答か誤答かを判断する基準となるのが、「字体」「字形」という考えです。
文化庁の「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」に準拠して、説明します。
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/2016022902.html

指針では、

字体とは、文字を文字として成り立たせている骨組み

としています。
また、

字形とは、実際に文字として記したときの形状

としています。

すると、同じ字体で漢字が書かれたとしても、実際に現れる字形は様々になることがわかると思います。
100人が同じ漢字を手書きしたとします。すると、それぞれの癖や筆記具の違いなどによって、100通りの形が出現するのです。

例えば、「学」と書くとき、上の三つの点を打つ位置は、人により少しずつ違います。これは、子どもの字をたくさん見ている先生なら、実感できると思います。バラバラですよね。

また、筆記用具によっても形は変わります。筆、鉛筆、ボールペン・・・それぞれ、字形が異なります。

そして、印刷された字も字形が異なるのです。明朝体とゴシック体では、かなり字形が異なるのは、了解できると思います。
そう、行書体とポップ体を比較した方がもっとわかりやすいですね。

しかし、鉛筆でしゃかしゃかと書かれた「学」も、ポップ体で印字された「学」も、同じ「学」という字として認識されます。それぞれの形(字形)に違いがあっても、同じ漢字であると読み取れるのは、もちろん、それらすべてに同じ骨組み(字体)が共通してあるからなのです。

ですから、「学」の上の三つの点の位置が多少違っていても、同じ「字体」であるとみなされるのです。
これが、漢字の正答です。

しかし、もし「学」の上の点を一つしか書かなかったら「字」という形になってしまいます。
「学」と「字」は、字形は似ていますが、字体は違います。
これが、漢字の誤答なのです。