「アンカリング効果」でお買い得感をつくる

2018/06/21

チラシやテレビショッピングを見ていると、ついつい買いたくなりますね。
不思議なことに「うん、安い。お買い得。」と思ってしまうのです。
これには、もちろん、そう思わせる秘密があるのです。

では、テレビ放送していた、ジャパネットたかたのふとん乾燥機通販の画面を見てください。

ここには、

ジャパネット通常価格12,980円

の表示が消されて、

9,980円

が提示されています。

このようなチラシや売り場におけるポップは多いですね。
これは、「アンカリング効果」を使った価格表示なのです。

「アンカリング効果」とは、最初に提示された情報が強く印象に残って、その後の判断や行動にずっと影響をおよぼす効果のことです。
アンカリングとは「アンカー(=いかり)」が語源となっています。船がその場にとどまるためにいかりを下ろすように、最初に提示された情報がアンカーとなり、その影響を受け続けてその場を離れられなくなってしまうのです。

人は、情報があまりない時には、特定の情報を重視しがちです。そんな心理をうまく活用しているのが、アンカリング効果です。

ジャパネットたかたのふとん乾燥機通販の場合は「通常価格12,980円」が「アンカー」です。
「通常価格12,980円である」という情報を、基準値として提示するだけで、「9,980円ならお買い得」と感じる人が、ぐんと増えるのです。

このアンカリング効果は、学級にも通用します。

学年が始まったばかりの黄金の3日間というのは、年間を通したルールを提示する機会です。
そして、そこで提示するルールは、「厳しすぎる」くらいでちょうどよいのです。
そこでの「厳しさ」が担任に対する印象のアンカーになります。その厳しい印象が、だんだん「本当はやさしい」「おもしろい」という印象に変わっていくので、子どもは先生についていくのです。 逆に、やさしい印象が厳しくなったら、子どもはついていきません。

まだ、あります。
最初の低いレベルの数値やパフォーマンスを、アンカーにするのです。
例えば、クラスで取り組む長なわ跳びなら、最初に計測した時に、低めの数字の方がよいのです。
だって、そこから伸びていくから、記録的には大したことがなくても、たくさん誉められます。
「始めは、3分間で78回だったのに、もう122回もできるようになった。すごいなあ。」です。

この「アンカリング効果」を少し意識するだけで、子ども達の心をぐんとつかむことができますよ。