「自分と同じ位かな」と思えば自分より相手が上

「ダニング=クルーガー効果」というものを知って、謙虚にならなきゃいけないとあらためて思いました。

社会心理学者であるダニングとクルーガーは、大学生を相手に実際の成績順位と自己評価の関連を調べる実験を行いました。
その実験は、学生を集め、彼らに知的スキル・文法・ユーモアセンスなどについて自己評価させたのです。
そして、その自己評価後、学生の中における自分の順位を推測させました。

すると、成績が悪い学生ほど学生の中における自分の順位を高く評価するという結果が得られたのです。
一方で、成績が良い学生ほど自分の順位を低く評価するという結果でした。

この「ダニング=クルーガー効果」は、知的な成績だけでなく、他の領域においても観察されています。
ですから、まとめると、

「ダニング=クルーガー効果」
能力の低い人物が自らの成績や容姿や発言、行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう優越のバイアス

なのです。

では、「ダニング=クルーガー効果」の例を見てみましょう。

ぼくは、クラスの中では学力が高く、成績もけっこうよいはず。
私は、あの人よりカワイイ。
今回はベンチスタートだけど、実力は試合に出ている人よりある。
あいつより仕事ができる。

どれも根拠がないのですが、そのように考えてしまうのです。
実は、「ダニング=クルーガー効果」は他人事ではありません。
自らに「ダニング=クルーガー効果」(メタ認知の誤り)は降りかかってくるのです。

向山洋一氏が授業の技量について、以下のようなことを度々言っています。

他人の授業を見て
「自分よりちょっと下かな」と思えば自分と同程度、
「自分と同じ位かな」と思えば自分より相手が上、
「相手の方がちょっと上かな」と思えば、相手は方が遥かに上
なのである。

この向山洋一氏の言葉は、「ダニング=クルーガー効果」の罠にかからないための的確なアドバイスだと思います。