「気に入らなければ返金ok」は「保有効果」をねらっている

昨日、「保有効果」について話題にしました。人には、持っているモノを高い価値があると考える心理的傾向があり、それを「保有効果」と言うのですね。 実は、この「保有効果」、通販の返品を受け付けますと言う仕組みにも応用されているのです。

テレビショッピング、通販サイトなどにおいて「気に入らなければ返金ok」という保証を見かけます。
こんな文言です。

万が一、商品にご満足頂けなかった場合は、30日以内に返品頂ければ、ご使用後でも全額返金いたします

しかし、実際に返品して返金を求める人は、実はそんなに多くありません。
これって「一度自分のものになったら手放しにくくなる」保有効果なのです。

購入してその商品を自分のものにすると、「使ってそんなに悪くないものだ」「悩んで買ったんだし、返品しないでこのまま使おう」とその商品を手放したくないと考える可能性が高くなります。

返金保証をつけて「買う時の心理的なハードルを低くする」ことで、結果的にはもっともうかる可能性が高まるのです。
ドンと言い切ってしまえば「返金保証をつけた方がもうかる」のです。

さて、この「保有効果」は教室においても起こります。
それは、例えば、給食においてです。

給食当番の子がおかずを盛り付けていくのですが、一皿に盛り付ける量が多くて、全員に配りきれなくなる場面があります。
こういう時、すでに配ってあるものを少しずつもらって、全員に行き渡らせるようにしますね。

でも、このとき、すでに配られている子は非常に不満をもちます。
様子を見ていると、「えっ、そんなに返すの」「もう、配られたのに」という表情がありありです。
「一度配られれば自分のもの」なのです。
「保有効果」として手放したくないのは当然です。

ぜひ、給食当番には少なめに配ることを徹底させましょう。