友だちとケンカして、殴ったり蹴ったりした子に、なぜそんな乱暴なことをしたのか問いただしたら、
「てゆうか、オレ、マジむかついてたしぃ」
と答えられたら、愕然としますね。
昨日も触れましたが、言語活用力は、思考のベースになる因子です。人は、その人が持っている言語活用力以上の思考はできないとさえいわれています。
清水義範氏が、「国語入試問題必敗法」の中で、そんな生徒とのやりとりを描いています。
「きみがあんな乱暴なことをしたのは、なぜなんだね」
ときかれて、言語能力が低いと何も説明できないのである。
「てゆうか、オレ、マジむかついてたしぃ」
「何にむかついていたんだい」
「なんうぜえんだよ。なんもかもが。逆ギレもしてたし」
「何かに不当な扱いを受けているような気がするのかな」
「わかんねえけど、超ヤベェ感じじゃん」
その人の思考には深い霧がかかっているんだろうなぁ、という気がする。
この生徒は、先生の質問に答えていません。
とにかく怒りの感情が湧いて、その怒りの感情にまかせるままに乱暴したと推測するほかないです。
自分が置かれた状況を説明し、その状況における自分の感情と行動を説明するためには、言語能力が必要です。
逆のことを言うと、言語能力が低いことによって、自分の心に沸き起こった負の感情を説明・処理できないから、乱暴してしまうとも考えられます。
小学校学習指導要領の国語の目標は、
(1) 日常生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
(2) 日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
(3) 言葉がもつよさを認識するとともに,言語感覚を養い,国語の大切さを自覚し,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。 です。
このどれもが、言語能力を高めることにつながっています。
むかつく
うざい
やばい
こんな言葉を使わずに、自分の感情を説明できる子を育てるためにも、国語をもっとがんばってほしいです。