ADHDの子が、その1つしかないワーキングメモリーを、窓から見える運動場のサッカーの様子に使われていたら、学習に集中できるわけはありませんね。
通常の子だったら、例えば3つあるワーキングメモリーのうち1つをサッカーに使われていても、残りの2つで学習することができます。
しかし、そんなことがADHDの子にはできないのです。
ADHDの子を学習に集中させるためには、
「ワーキングメモリーを学習以外のものに使わせない」
ことが必要なのです。
そのためにも、
「教室の環境を調整する」
必要があります。
運動場のサッカーが気になるのだったら、カーテンを締めるのです。
子供たちは通常、黒板のある前を向いて学習します。
ですから、その「教室の前面」の環境を調整するのが効果的です。
この考えは、「低刺激」「教室の環境調整」という言い方でだいぶ広まってきました。
教育委員会においても提唱するところが多くなってきたようです。
埼玉県教育委員会の「特別支援教育の視点を生かした授業・学級経営」(小学校)には、
教室の環境調整
集中して学習に取り組みやすくするためには、情報量を調整し環境を整えることが効果的です。
(教室前面の掲示物の整理)
http://supervisor-ex.com/L90494/b300/13541
と書かれています。
そう、私もかつて、そんなに派手ではありませんでしたが、子供の似顔絵や学級目標を前面黒板の上に掲示していました。
今思えば、子供たちはその掲示に気を取られていたかもしれません。
この「低刺激」の考え方を知ってからは、
・教室前面(黒板の上も)はスッキリと、ほとんど掲示物なし
・黒板には全く張り物はなくスッキリ(端から端まで何もなし)
・学級目標は背面黒板に掲示
にしました。
「子供たちの目に常に入る前面黒板周りはスッキリ」
が原則です。
そうすれば、ADHDの子のワーキングメモリーは学習の方に注がれるのです。