五色百人一首には、「空札」なるものがあります。
「ご用意よければ 空札一枚」と、先生が試合のはじめに言って、次の歌を詠むのです。
「東海の 小島の磯の 白砂に われ泣きぬれて 蟹とたわむる」
この空札の詠まれ方によって、子供たちは、試合にのぞむ心の準備をします。
加えて、読み手の
・詠む速さ
・詠む抑揚
を、子供たちに伝えているのです。
しかし、
この空札の歌は、五色百人一首大会においては、石川啄木のこの歌に指定されていますが、教室では、他の歌でやってもかまわないのです。
ちなみに、競技かるたの始めの歌、序歌(じょか)として詠まれている歌は、次の歌です。
「難波津に 咲くや木の花 冬隠もり 今は春辺と 咲くや木の花」
これを「空札」としても、よいのです。
私は、自分の好きな右大臣実朝の歌を「空札」にしていたこともありました。
「大海の 磯もとどろに 寄する波 割れて砕けてさけて散るかも」
また、6年生担任だったときは、教科書の短歌を使って、
「金色の ちいさき鳥の かたちして いちょうちるなり 夕日のおかに」
「東(ひんがし)の 野にかぎろいの たつみえて かえり見すれば 月かたぶきぬ」
を「空札」にしていました。
皆さんも、ぜひ「空札」を工夫してください。