教科担任制による「教科のスペシャリスト」という選択肢

教科担任制はデメリットばかりではありません。捉え方によっては、期待できることもあると思います。
それは、「教科のスペシャリスト」という選択肢です。

私は、初任からずっと担任をやっていました。それが、退職間際になって担任をはずれ、理科専科をやることになりました。
それは、若い先生に担任をするチャンスをあげるために、ベテランの私に専科をやってほしいと言われたからです。

私は「仕方なさ半分」?で引き受けたのですが、そんな理科専科は、思っていた以上に新鮮でした。

それは、「教えることの楽しさ」の再確認だったのです。

子どもたちが、ワクワクするような理科の実験・観察をもれなくやりました。これは、準備を綿密にしておかなければ、なかなかできないことです。 また、基礎的な実験技能が定着するよう、用具操作の時間もふんだんにとりました。これは、ある期間、実験用具を出しっぱなしの「常設」にしておいたからできたことです。

こんな事は担任だったら、とてもできなかったことです。

しばらくすると、「理科専科も楽しい」と心底思えました。

子ども達は、実験用の白衣を着ている私を、「理科のスペシャリスト」と見てくれたのでした。

今回、諮問された教科担任制は、様々な問題をかかえています。

しかし、現在の小学校の現状は、あまりに「学級経営」にアクセントを置きすぎていると思います。。
「教科指導」は二の次とは言いませんが、かなりなおざりにされています。

教科担任制は、そんな現状への一石になります。
子ども同士の人間関係やクラスのまとまりについて悩むよりも、自分の得意な教科を思い切りやりたいという教師は、けっこういると思います。

また、ベテランと呼ばれる教師が多くなり、かつての私のように専科の要請が出されるようになるでしょう。
だったら、「教科のスペシャリスト」という選択肢を設けることで、そんなニーズに応えることができると思うのです。
教科担任制は、そんな人たちにとって、「渡りに船」なのかもしれません。