今年も、2010年に亡くなった女性歌人、河野裕子さんを顕彰する河野裕子短歌賞(産経新聞社主催、京都女子大学共催)の入賞作品が10/20に発表されました。 この短歌賞が特徴的なのは、「家族を歌う」ことです。
そんなに短歌に詳しくない私のような者が読んでも、心にぐっときます。
子供たちに紹介してもらってもよい短歌です。
まず、河野裕子賞 家族の歌・愛の歌部門です。
暑さなど覚えていない八月のようやく君に会えた日のこと
(神奈川県横浜市鶴見区 杉山 太郎)
この歌を、選者の島田幸典氏はこのように評しています。
困難を何とか乗り越えて、やっと待望の対面を果たした。「暑さなど覚えていない」という強い断言は、その日ならではの実感の籠もった表現である。大事な人と会えた喜びが、安堵の思いとともに伝わる歌である 。
次に、河野裕子賞 自由題の部門です。
バス停は私のことを考えてわたしのことを褒めてやる場所
(埼玉県和光市 岩崎 雄大)
この歌を、選者の永田和宏氏はこのように評しています。
とても大切なことの書かれた歌。そう、自分を「褒めてやる」という姿勢が誰にとっても大切なのである。今日一日を振り返って、よく頑張ったと思える場所がバス停なのだと。「私のことを」のリフレインが巧い。
どちらの歌も、私のお気に入りになりました。