「跳び箱が跳べるようになる意味」

「跳び箱」について、インタビューを受けました。「跳び箱が跳べるようになる意味」についてです。

(Q)
跳び箱を跳べない子が跳べるようになるというのは、その子自身にとって、どんな意味があるのでしょうか。

(A)
跳び箱を跳べることのキーワードは「成功体験」です。
「できなかったことができるようになる」「不可能だと思ったことが可能になる」という「成功体験」は非常にインパクトがあります。 一つ「成功体験」を手にすると、体育の鉄棒・水泳等もできるようになりたいと波及しますが、もっと広く学習全般に波及します。
漢字にチャレンジするとか、スピーチが上手になるとか、計算も上手になるとか、波及が期待できます。
さらに考えると、学習だけではなく「生き方」にも関わります。「様々なことにチャレンジして、できるのではないか」と思えるのです。 たかが跳び箱かもしれません。でも、されど跳び箱なのです。

(Q)
では、跳び箱を跳べない子が跳べるようになるのは、周りの子どもたちにとってどんな意味があるのでしょうか。

(A)
周りの子が、跳べない子が跳べるようになったことを知るのはすごく大切なことです。
それは、二つの意味があります。
一つは、「できなかったあいつも跳べたのなら、俺も跳べる」ってことです。あいつができるんだから、俺もやれるだろうと。周りの子たちにとって、励みになるのです。 もう一つは、「あの子はできない子、ぼくはできる子」みたいな序列が、教室にあります。
その「いじめにつながるような序列が覆っていく」ことがとても大切なんです。
「僕はできる子、あの子はできない子」が崩れていくのです。

(Q)
では、今度は、跳び箱を跳べない子が跳べるようになるというのは、教師にとってどのような意味があるでしょうか。

(A)
教師にとっては、「自分で学んで身につけた技術を使えば、この子はできるようになる」ということが実感できることです。
「どの子にも可能性がある」とか「がんればできる」というのは、まるでスローガンのようです。
でも、その「どの子にも可能性がある」ということを、実際に起こせることがわかるのです。
それが、教師にとっての、インパクトのある意味です。