卒業式での「学事報告」の意味

昨年、この時期に、卒業式での「学事報告」について知って、ショックを受けたので、また、そのことについてふれます。
そう、卒業式の国歌斉唱の後に行われる、あの「学事報告」です。

卒業式では、だいたい、司会の先生がこのように言います。
卒業式は、ほとんど教務主任が司会をするので、かつて教務主任だった私も言っていました。

「学事報告。学事報告はお手元の印刷物をもって替えさせていただきます」

この「学事報告」って一体何なんでしょう。

「教育トークライン」2019年3月号に、元全国連合小学校校長会の会長で現顧問の向山行雄氏が「学事報告」について書いていました。 これを読んで、私は「学事報告」「卒業式」にそんな意味があったのかとびっくりしたのでした。

「小学校の卒業式とは、六か年の長きにわたり納税してくれた人に、その成長を見せる場である。
納税者が多額の税を納めてくれたおかげで、教師を雇い、校舎を維持し、安価な負担で給食を提供することができた。
だから、学校設置者の自治体の代表者や地域住民代表者を招く。
そして、成長した姿を見せて、学事(教育活動)の報告をする。
それが卒業式の趣旨なのである。」

6年間をかけて、ひよっ子の1年生がこのような立派な子に育ったことを、学校を支えてくれた納税者に報告する、それが「学事報告」なのです。 「学習報告」の重要性が、ビンビン響いてきました。

司会の先生が
「学事報告。学事報告はお手元の印刷物をもって替えさせていただきます」
とわざわざ、丁重に言う意味がわかりました。

私は、今まで、このようなことを理解して、卒業式に臨んだことがありませんでした。
担任した子ども達に、話したこともありません。

ぜひ、卒業式にはこのような趣旨もあることを、国民が一生懸命働いて納めた税金で成長することをサポートしてもらったのだと、子供たちに話してください。