仏像における「印相」と手のひらの非言語的メーセージ

たまたま仏像の本を読んでいると、仏像の手のひらの形である「印相」のことが書かれていました。
それが、私たちが教室で使っている手のひらの非言語的メッセージと近かったり、逆の意味だったりで興味深かったです。

谷和樹氏は、発言を促すような「どうぞ」という意味で、手のひらを上に向けて、その子を指し示すと書いています。私も同様にやっていました。 これは指差すのではなくて、手のひらを見せるのです。

仏像における「印相」にも同様なものがあって、それは「与願印」と言われています。
「与願印」とは、「願いを叶えます」というメッセージです。
まさしく、教室でやっているのは、「あなたが発表したいという願いを叶えます」というメッセージですね。

一方、谷和樹氏は、授業中、手のひらを不規則発言を続ける子に向けて出すと言います。これは、「制止」のポーズになります。手のひらの「ストップ」です。 私も、結構使っていました。「ちょっと待って」と声をかける代わりに、手のひらをその子に出していました。

ところが、この手のひらを相手に見せる印相は「制止」ではないのです。
それは「施無畏印」といって、「恐がらないで」というメッセージなのです。

よく考えると、これは、手のひらの動かし方の違いなのかもしれません。
「制止」の場合は、相手に向かってパワーを押し付けるように前にも動かします。
「恐がらないで」の場合は、相手の恐怖を吸い込むように手のひらを引いていきます。

ぜひ、子供があなたのことを怖がってることを感じたら、手のひらを相手に見せてから引いてみてください。
「大丈夫だよ」「心配ないよ」という言語的メーセージになるかもしれません。

教育トークライン2020年8月号
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