分散登校でも「全員の原則」

「全員の原則」という、向山洋一氏の提唱した授業の法則があります。
それは、「指示は全員にせよ」というものです。

向山洋一氏は、新卒教師のクラスが荒れていく原因を、「全員の原則」を使いこなせなかったからだと説明しています。

こんなささいなことをなぜ聞くいのだろうかと思うほど子供達は次々に聞きにくる。
「給食を食べ終わったら、片付けていいですか」
「 体育の時間の準備体操は誰がするのですか」
(中略)
その頃は新卒教師に対する子供たちの質問は数十にものぼっているから、先生の回答の食い違いも生まれてくる。
ある子供には「お野菜を残して良い」と答え、ある子供には「できるだけ食べてごらんなさい」と答えたような時である。
一方の子供は「先生は残して良いと言った」と主張し、一方の子供は「先生は食べなさいと言った」と主張するようなことが生じてくる。あまりにもささいな事を何度も聞きにくるので「自分で考えなさい」と突き放すこともある。 それぞれの子供が考えたルールが、独立して歩き始める。

こうやって教師の権威が崩れ、教室が荒れていくことを知って、私は「全員の原則」を徹底することを心がけたものでした。

コロナウイルス対策のために、学校再開後しばらく、分散登校が行われたことがありました。それは、クラスを二つに分け、半分の子は午前中、 残り半分の子は午後に授業をするといった登校でした。

千葉美和氏は、その分散登校の時も「全員の原則」を心掛けたことを、サークル冊子に書いています。

教師の言ったことはルールになる。
分散登校から始まったので、前半に登校し た児童と、後半に登校した児童によって、多 少対応が違ってしまうこともあった。全員が 集まったときに、先生が違うことを言ってい たと、ルールがおかしくならないように、気 を付けた。 パワーポイントでスライドを作って、前半・後半で同じものを示した。
・学校の感染症対策5 つの約束
・学年で気を付けたいこと
・学級で大切にしたいこと
また、「折り紙は持ってきていいですか。」など、持ち物などルールに関わることを児童 に聞かれたときはメモをとる。即答できない ものは、学年で確認してから次の日、前後半 に同じように答えるようにした。

教師の言葉が、分散登校でもぶれないように、最善の努力をしていたんだなあとわかりました。

子供が不意に質問してきたら、「ちょっと待ってね。それは大切な質問だから、みんなに言います。」と答えていきましょう。