五色百人一首についての原稿を、教育トークライン2020年9月号に書きました。
「五色百人一首は革命的なシステムである」というタイトルです。
五色百人一首はまさに革命的であった。
小倉百人一首は千年の歴史を持つ文化であり、そして百人一首かるたは江戸時代から続く遊び文化である。
こんなにも長い歴史を生き延びてきた文化であり、人々を熱中させる遊びでもあるものは、世界でもそうはない。
そんな百人一首を細分化するという発想は革命的であった。「百首そろって百人一首」、それが不文律だったのだ。
ところが、そんな不文律を破り、小さな子にも扱いやすい二十枚ずつ分割したのである。教師ならではの発想である。
この細分化の原則の発想によって、百人一首は五色百人一首として、教室の文化・遊びとして生まれ変わったのである。
この五色百人一首が向山洋一氏によって告知されると、そのすばらしさを多くの教師はすぐに理解し、教室で実践した。
私もやってみた。子ども達は五色百人一首に熱中した。
五色百人一首は、瞬く間に全国に広まっていったのだ。
五色百人一首はまさにシステムである。それは学びのシステムをもっているということだ。
取り札の裏に上の句が書いてある。読まれた札が取られてしまったら、次の札が読まれるまで、札を返して上の句を見てよい。これは、試合中に練習してよい、学んでよいということである。こんな「その場主義」の教材は、めったにない。 このシステムがあるからこそ、札を取られてしまっても、次の札は覚えて取ろうという気になる。
そして、このシステムの中で、子ども達は「覚えると得だ」と理解して、札を覚えるようになる。さらに熱中していくのである。
五色百人一首は向山洋一氏の創り出した傑作である。 この五色百人一首を、次の千年につなげていきたい。