「読書嫌いにする方法」2「シールを貼って読書の量を示す方法」

「シールを貼って読書の量を示す方法」
このようなシールを貼って読んだ本の数をグラフにして、教室に掲示する方法の問題点は何なのでしょうか。

大森修氏は、「子供が読んだ本の冊数だけを明示しているのが問題」だと言います。

シールを貼ることによって、たくさん読んでいる子とそんなに読んでいない子の差が目立ちます。
当初は、そんな読んでいない子も、やる気になって本を読む気になるでしょうが、しばらくすると本を読まなくなります。
それは、差がますます開いて際立ってくるからです。

本をそんなに読んでいない子は、本を読むのが遅いです。一生懸命読んでも、そんなに本は読めず、シールは少しずつしか増えません。 その間に、本好きな子はたくさん本を読んでシールをたくさんもらいます。

大森修氏が、先輩教師から聞いた話として、図書室の本が軒並み落とされた事件を紹介しています。
犯人の子供を問いただすと、このように言ったのです。

「子供は本が憎かったという。教室に掲示されているシールの数は、どんなに読んでも差が縮まらない。開くばかりである。
その子供は読むのが遅い。一生懸命読んでいるのに差が開く。教師も、親も、顔を見ると読書、読書と言う。
本が憎くて憎くて仕方がない。」
「作文技術で思考を鍛える」(大森 修)

教師が良かれと思ってやった方法が、子供を傷つけることがあります。そのようなことを心しておきたいです。