「精神的幸福度がワースト2」の内容は?

9月3日に「精神的幸福度がワースト2」という先進国の若者幸福度ランキングが発表されて、日本の子供は心がボロボロだという主旨のニュースが流れています。

確かに、「精神的幸福度がワースト2」とだけ聞くと、日本はひどい国という印象をもちます。
でも、こういう時は原典に当たって確かめた方がいいです。
http://em-tr270.com/L90494/b300/110551

精神的幸福度とは、「Mental well-being」です。

これは、次の二つの指標をもとに決めています。
まず、PISA調査2018の次の問いの平均値です。
「全体として、あなたはあなたの最近の生活全般に、どのくらい満足していますか。スライダーを該当する数字に移動させてください。」 日本は平均値6.2で、調査のある33か国中32位です。

この問いへのトップはオランダ。
で、第2位はメキシコです。8.6です。3位はルーマニアです。8.5です。
そして、ずらっと下位にいってアメリカ28位、7.1です。イギリス31位6.4です。

いかがです。
少し印象が変わると思います。
勝手に、多くの先進国で上位を占めているのに、日本だけが下位にいると思い込んでいませんか。
そうではなくて、これから経済等は発展していく途上国・新興国がけっこう上位なのです。

また、小塚祐爾氏は、次のようにも言っています。

「しかし、PISA調査の「全体として、あなたはあなたの最近の生活全般に、どのくらい満足していますか。スライダーを該当する数字に移動させてください。」 は本当に幸福度を測っているのかという疑問があります。
日本人はまじめな人が多いから「まだまだもっと満足できる自分になりたい」という気持ちが強いので低いのかもしれません。」

そして、国立教育政策研究所の分析を引用するのです。
「日本では自身の能力・価値をあからさまに表に出すことをよしとしない,あるいは謙遜することを美徳とする文化があるとされる(国立教育政策研究所 2017)。同様 に,ここで生徒に尋ねている主観的な生活満足度においても,その生徒が属する国の文化では,謙虚さに価値が置かれ,控えめな自己呈示をする傾向があり,たとえば生徒の 満足度は極めて高かったとしても,自己呈示は控えめとなる可能性がある。」
「日本の生徒の生活満足度は世界的に低いという単純な解釈は事実を正確に捉えられているとは言いがたいように思われる。」

私も、小塚氏や国立教育政策研究所に賛成です。
このようなランキングが出されたからと言って、メディアが言うことをそのまま受け止めてはいけないと思います。

すぐに、日本はいじめがあるから、家庭の教育力が下がっているから、学校が管理的だからと言わないで、自分の頭で考えていきたいです。