熱中する暗唱指導

私は、暗唱を成功体験の最重要アイテムとして位置づけていました。
暗唱が終わって「先生どうだった?」と私の方を見て判定を待ってる子供に、私が「合格です。」言うと、子供は飛び上がって喜ぶのです。

こうやって、自分が詩文・名文を覚えることができるということに自信をもち、どんな子も十や二十の詩文・名文を覚えていきました。

しかし、そんな暗唱のスタートは、やはり難しいものです。
ですから、教師は最大限の配慮しなくてはいけません。
その配慮とは、スモールステップです。

教育トークライン2020年10月号に、石坂陽氏が「熱中する暗唱指導」という原稿を書いています。
その順序は次の通りです。

まず、「1 ふんだんに読ませる」です。
追い読み、交代読み、リレー読み、一斉読み・・・。ありとあらゆるテクニックで、たくさん読ませま。
スラスラと自然に読めるようになるまで音読させるのです。

次は、「2 最初の部分に限定して暗証させる」です。
例として、「枕草子」をあげていますが、その長い部分を示して「暗唱しなさい」と言ってもできるわけがありませんし、そもそも「そんなことできるわけない」とやる気自体がわかないと思います。

そうではなくて、まず冒頭の「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは」の部分だけ覚えなさいと言うのです。これなら苦手な子でも、少しがんばればできそうに思えます。

そして、「3 暗唱テスト」です。
ここのテストは厳しいのですが、本当に苦手な子に対して石坂氏は黙って口を動かすというヒントを与えています。
こういうさりげない優しさが大切なんだなと思います。

暗唱の成功体験を繰り返すことで、子供は自己有能感を高めます。
ぜひ、やってみましょう。