「手をこまねく」「敷居が高い」「浮足立つ」

文化庁は25日、令和元年度の「国語に関する世論調査」の結果を発表しました。
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/92531901_01.pdf

その中に、「この慣用句はどちらの意味だと思うか」という質問があり、次のような結果になりました。

まず、「手をこまねく 」です。
(ア)何もせずに傍観している  37.2%
(イ)準備して待ち構える    47.4%

「手をこまねく」は、本来「何もせずに傍観している」ですが、それと違って「待ち構える」という意味で捉えている若い人が多いのです。

次は、「敷居が高い」です。
(ア)相手に不義理などをしてしまい,行きにくい 29.0%
(イ)高級すぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい 56.4%

「敷居が高い」は、本来「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」という意味なのですが、それが「高級すぎて入りにくい」という意味で捉える人が多いのです。 これは、以前の調査に比べて、格段に割合が増えています。

他の2点は、私は本来の意味で使っていましたが、この「敷居が高い」については「あれっ、そうだったの」と思わずつぶやいてしまいました。 高級ホテルや高級レストランに行くことを考えて、「敷居が高い」という言葉を使っていたからです。
そもそも、相手に不義理をしたり、約束を果たさなかった人のところへ行くこと自体がをあまりないので、意味を知っていたとしても、こんな使い方はしないのです。 皆さんはいかがですか。

最後は、「浮足立つ」です。
(ア)喜びや期待を感じ,落ち着かずそわそわしている 60.1%
(イ)恐れや不安を感じ,落ち着かずそわそわしている 26.1%

「浮足立つ」の本来の意味は、「恐れや不安を感じて、落ち着かずそわとわしている」ことです。
それが、逆の「喜びや期待」に関連する用法になったのは、「浮き浮きしている」「浮かれた気分」の影響なのかもしれません。