「悪し様に人を罵る」と言います。
先日、強烈に人に悪口をぶつけていた方を見たので、こんな言葉が頭に浮かんだのでした。
しかし、この「悪し様」という言葉は、悪いことをそのまま非難しているとは、ちょっと違うニュアンスが感じられます。
また、言葉について考える時には、必ず「対」になる言葉が何か頭に浮かぶのですが、今回はちょっと浮かびませんでした。
この「悪し様」に、「対」になる言葉ってあるのでしょうか。
調べてみました。
「悪し様」という言葉は、次のように解説されています。
「事実をまげて事実より悪く言うこと。悪意を持って捏造する。」
辞典オンライン
「相手を実際よりも悪く、また、いかにも悪いものとして扱うさま。」
コトバンク
「人や物をひどく悪く言うさま、けなすさまなどを意味する表現。」
WEBLIO辞書
このように、相手を罵る場面において、「悪意」や「敵意」によって事実をねじまげて人を非難するというイメージがあります。
「悪し様」には、公平性や冷静さはないのです。
では、「悪し様」に対となる言葉はあるのでしょうか。
調べると、
「善様」
という言葉が見つかりました。「よざま」と読まます。
意味のニュアンスとしては、やはり過剰に人を褒めるような感じでしょうか。「盛って」褒める意味だと思います。
ただ、 現代では使われていず、古文の中で使われたことがわかっています。
だんだん使われなくなっていったのです。
やはり、人って、褒めることより悪口を言うことに興味があるのでしょうか。