平均を元に設計すると、誰にも当てはまらないものができ上がる

「平均」を使えば、だいたい誰にでも当てはまる、そんなことを考えがちですが、そんなことはありません。
それは、誤解です。

「平均」を考える上で、有名なエピソードがあります。

1940年代、アメリカ空軍では、飛行機の墜落事故が頻発していました。
原因をさぐっても、飛行機の構造や電気系統に異常はなく、パイロットの操縦スキルにも問題はありませんでした。
そこで、コックピットの設計に、目が向けられることになりました。

当時のコックピットは、多くのパイロットの体の寸法の平均値に合わせて設計されたものでした。

しかし、調べてみると、多くのパイロットから割り出した10箇所の平均的身体データすべてに当てはまるパイロットは、存在しなかったのでした。

要するに、平均値に合わせてコックピットを設計していたので、誰の体にも合わないコックピットができあがっていたのでした。

アメリカ空軍はこの結果を受けて、平均値を基準とするのではなく、パイロット個人の体のサイズに合わせてコックピットを調整できるようにしました。 現在の自動車のように、シートの位置やハンドル位置などが、個人の体のサイズに合わせて調整可能なものにしたのです。
こうして、墜落事故の問題は解決したのでした。

このように、個人に関して「平均」を重視したり、「平均と比べて」という発想をしたりすると、判斷を間違えることが多々あるのです。 ぜひ、気をつけていきましょう。