場面緘黙の子への手だて「多様な表現方法を用いて表現させる」

このところ、場面緘黙の子について話題にしています。

昨日は、

「場面緘黙の子に過度のプレッシャーを与えたり、話すことを強要したりすると、より強固にしゃべらなくなってしまう」

という研究があることを提示しました。

では、どんな手だてをとればよいのでしょうか。

それは、

「多様な表現方法を用いて表現させる」

ことです。
場面緘黙の子は、話すことができないなら、話さない表現方法をとればよいのです。

私の場合は、その子の自己表現を代わって行うようにしていました。
例えば、次のようです。

国語の音読。「リレー読み」(「句点読み」)。
前の方から、次々と句点ごとにどんどん起立して読んでいきます。
その子の番。その子は起立して、自分が読むところを、口をぱくぱくさせながら読みます。声はありません。。自分の分を読み終わると着席。 次の子は、すぐさま続けて読み続けました。

算数の計算。
「では、・・君の列、前の人から答えを言っていきましょう。」
この・・君の列には、その子がいます。
「12」「14」と前の人から答えを言っていき、その子の番。
その子はその場に立ちます。すると、隣の子がその子のノートをのぞきこみ、答えを言います。「11」。

私は、自然にその子に代わって表現させるように、クラスの仕組みをつくったのです。

「口を動かしたら、読んだものみなす」
「ノートに書かせて、周りの子や教師が読む」

という仕組みです。

この他にも、教師が「・・ということかな」と子供の気持ちに合う言葉を探してあげることもしました。
また、感想など自分の気持ちを表現する場合は、教師が「楽しかった?悲しかった?」と直接聞いて、うなずかせる方法をとったこともありました。

いずれにせよ、短期的な結果を求めず、長期に渡ってほぐれていくようなイメージをもって指導していくことが肝要だと思います。