谷川俊太郎さんの「生きる」

11/13、谷川俊太郎さんが亡くなりました。92歳でした。
谷川さんは、私達には馴染み深い人で、国語の教科書に作品が掲載されている関係で、なんだか、知り合いのような感覚を私はもっています。
高学年を担任することの多かった私は、卒業前に「生きる」という詩を授業するのがルーティンのようでした。
「生きる」   谷川俊太郎   生きているということ   いま いきているということ   それは のどがかわくということ   木もれ陽が まぶしいということ   ふっと あるメロディを 思い出すということ   くしゃみすること   あなたと手をつなぐこと   生きているということ   いま 生きているということ   それはミニスカート   それはプラネタリウム   それは ヨハン・シュトラウス   それはピカソ   それはアルプス   すべての美しいものに 出会うということ   そして   かくされた悪を 注意深くこばむこと   生きているということ   いま 生きているということ   泣けるということ   笑えるということ   怒れるということ   自由ということ   生きているということ   いま生きているということ   いま 遠くで犬がほえるということ   いま 地球がまわっているということ   いま どこかで産声があがるということ   いま どこかで兵士が傷つくということ   いま ぶらんこがゆれているということ   いま   いまが過ぎてゆくこと   生きているということ   いま 生きているということ   鳥ははばたくということ   海はとどろくということ   かたつむりははうということ   人は愛するということ   あなたの手のぬくみ   いのちということ 
私の勝手なお気に入りのフレーズは、「かくされた悪を 注意深くこばむこと」です。 なかなかできないことだけど、気をつけていることです。
さて、この詩を6年生に教える意味というか、意義というのは何かと、教えるたびに考えていました。 それは、6年生の時点で、この詩がストンと腹落ちするわけはないと思うからです。 これは、もうだいぶん大人をやった人間にこそ、教えるべき詩だと思います。
若さは全力疾走。 過ぎ去ってみて、わかることばかりです。
だから、私は、卒業から20年、30年たった時点で、自分の人生に思いを馳せたときに、何かしら光るものがあったら、という感じで、この「生きる」という詩を教えていました。
皆さんに、お気に入りのフレーズはありますか?