谷川俊太郎さんの「卒業証書」

11月に亡くなられた谷川俊太郎さんの詩を取り上げています。 「生きる」は、6年の国語教科書の最後の方に出てくる教材で、当然、卒業を意識したものだと思います。 「巣立っていく者への贈る言葉」というニュアンスです。
ふと思い出したのですが、卒業間際に、「生きる」以外に谷川俊太郎さんの詩を授業したことがあります。 それは、「卒業証書」という詩です。
「卒業証書」 谷川俊太郎
ひろげたままじゃ持ちにくいから きみはそれをまるめてしまう まるめただけじゃつまらないから きみはそれをのぞいてみる 小さな丸い穴のむこう 笑っているいじめっ子 知らんかおの女の子 光っている先生のはげ頭 まわっている春の太陽 そしてそれらのもっとむこう 星雲のようにこんとんとして しかもまぶしいもの 教科書にはけっしてのっていず 蛍の光で照らしても 窓の雪ですかしてみても 正体をあらわさない そのくせきみをどこまでも いざなうもの 卒業証書の望遠鏡でのぞく きみの未来
昔は、卒業証書といえば、かなり大きめの紙(40センチ×22センチ)で、セットで丸筒をもらっていたものです。 卒業証書を持ち帰る際には、くるくると丸めて筒に入れていました。 そんな時代の詩です。
今では、卒業証書は小さくなり(A4)、ファイルに入れて持ち帰るようになりました。 だから、今の子にはこの詩はイメージしづらいと思います。 まあ、教科書には掲載できませんね。
皆さんに、お気に入りのフレーズはありますか?