「話を聞かせる力をつける」「大切なこと」と「1回しか言わない」をセットにしない

子どもの「聞くスキル」=能力を、トレーニングや練習によって高めたいという発想は、教師であれば誰しも持つものだと思います。
その一つのやり方として、よく行われているのが、
「先生は1回しか言わないよ」
というものです。
私も、20代・30代の頃に、時折、思い出したようにこれをやっていた記憶があります。
「これは大切なことだから、よく聞いてね。先生は1回しか言わないよ。」
そう言うと、子どもたちは皆、ぐっと身を乗り出して、私の話を一言でも聞き逃すまいとしていました。
でも、このやり方は、ちょっと危険というか、ある意味で矛盾しています。
本当に大切なことで、絶対に理解してほしいことなら、1回だけでなく、何度も言うべきです。 それを「1回しか言わない」というのは、まずいと思うのです。
「1回しか言わない」というのはあくまでトレーニングの一環であり、ゲーム感覚で取り組むべきものです。 だからこそ、大切なことではなく、どうでもいいことを題材にするのがよいと思います。
たとえば、
「聞き取れたかな?先生が言ったのは、何日だった?」「どんな果物の話だった?」
といった問いかけを通して、子どもと軽くやり取りをし、評価するのが効果的です。
とにかく、「大切なこと」と「1回しか言わない」をセットにするのは、やめた方がよいと思います。