原因と理由の使い分け その2

「原因と理由の使い分け」について、「プラス・マイナスの観点」ではどうもしっくりこない、ということを前回述べました。
私が納得するのは、主観・客観という観点です。
すなわち、
「原因」=事実や出来事のもと
「理由」=人の行動や考えのもと
という考え方です。
「原因」は客観的な観点、「理由」は主観的な観点ととらえると、使い分けがしやすくなります。
たとえば、遅刻の事例で見てみましょう。
「今日、遅刻した原因は、電車が遅延したことです。」
というように、「原因」は自分の外側にある客観的な事実によるものだと理解されます。
一方で、
「今日、遅刻した理由は、家を出るのが遅れたからです。」
というように、「理由」は自分の行動や判断・気持ちなど、主観的な要素によるものだと認識されます。
実際、
「ぼくがみかんを嫌いな理由は、酸っぱいからだ。」
とは言いますが、
「みかんを嫌いな原因は、酸っぱいからだ。」
とは、あまり言いません。
逆に、
「事故が起こった原因は、ブレーキの故障です。」
とは言いますが、
「事故が起こった理由は、ブレーキの故障です。」
とは、あまり言いません。
とはいえ、私たちは日常的に、「原因」と「理由」をあまり厳密に区別せずに使っているのが実際です。
もし迷ったときは、次のように考えてみるとよいでしょう:
それは、人の考えや気持ちに関することか? → 理由
それは、事実や自然現象に関することか? → 原因
このように、主観か客観かという観点で使い分けを意識すると、より的確な言葉選びができるようになると思います。
私の「原因と理由の使い分け」の悩みが、役だったらうれしいです。