「ちょっと待っててね。」ではなく「3分待ってね」

発達障害の子、特に自閉症スペクトラム症の子が、「察する」「暗黙の了解」を前提としたやり取りが苦手です。
「語用論」を解せないのです。

では、どのようにトラブルを回避し、その子が無用な辛さを味わないようにしたらよいのでしょうか。

それは言葉をかける側が、曖昧な表現を避けて「具体的な表現」を心がけるということです。

よくもち出される例があります。

「ちょっと待っててね。」

この「ちょっと」とは、いつまで待つのでしょうか。
どこまで待つのかわからなくて、自閉症スペクトラム症の子はどんどん不安になります。

これは、「具体的な表現」をするとこうなります。

「3分待ってね」… 続きを読む

自閉症スペクトラム症の子が苦手な「語用論」

発達障害の子、特に自閉症スペクトラム症の子が、コミュニケーションが苦手というのは、相手とやり取りしている言葉以外の気持ちや意図を察することが苦手だからです。

こんな事例があります。

ある子がノートを書いていて、書き間違えました。消しゴムを忘れたので、隣の子に「消しゴム持ってる?」と尋ねました。

これに対して、
A君「持ってるよ」
消しゴムを見せてそのまま自分の筆箱にしまいました。

B君「はい、どうぞ」
消しゴムを手渡しました。

同じ「消しゴム持ってる?」という問いかけでも、場面や状況によって、その言葉にこめられた意図は異なってきます。
この子は、消しゴムを持っているかどうか尋ねたのではなくて、「消しゴムを持っているなら貸してください」と頼んでいるのです。… 続きを読む

学校の研究の2つのタイプ

昨日、学校における研究と研修の違いについて述べました。
今日は、学校における研究について、少し掘り下げて述べてみます。

私は、学校の研究には、二つのタイプがあると考えました。
一つは、「新しい指導法を開発する」というものです。
そして、もう一つは、「子供ができる・できない原因を明らかにする」というものです。

これは、医学に例えるとわかりやすいので、医学にあてはめてみます。

医学における「研究」とは、まず、新しい治療法・新薬を開発することです。
現在、新型コロナウイルスのワクチンの開発が急ピッチで進められています。このように、病気に対する治療法・新薬を開発することは、医学における研究の重要なテーマです。

そして、これを学校における研究に当てはめると、「新しい指導法を開発する」になるのです。
現在、これまた、急ピッチで行われているオンライン授業やGIGAスクール構想に合致した授業を作り上げるのは、このタイプに当てはまります。… 続きを読む