相手にけがをさせたときの電話連絡

トラブルメーカーの子を担任した時、その子の保護者には、小さなケンカやトラブルのことは連絡していませんでした。
それまでの学年で、担任の先生からうんざりするほど苦情や要求を受けていたと思ったからです。
そんな苦情や要求を言うよりも、その子を少しでも成長させ、その成長の事実を保護者に報告したいと考えていました。

しかし、友達とケンカになり、友達を殴ったり、つきとばしたりして、けがをさせてしまったら話は別です。
こうなると、もう学校の中でおさめておくことはできません。
相手がけがをしたら、すぐに電話連絡をしなければいけません。

しかし、なかなか「けがをさせた」とは、言いにくいものです。
特に、まだ保護者と意思の疎通ができていないときは、余計に言いにくいものです。

そんなとき、私は「けがをさせた事実」にアクセントを置いて電話をしました。

「友達と、何かの拍子に口げんかになり、だんだん気が高ぶって大きなケンカになりました。
お子さんだけが悪いわけではありませんが、とにかく相手がけがをしたということは確かですので、すぐに電話いたしました。」

原因はお互い様で、その子だけが悪いわけではないのですが、結果として「けがをさせた」ことはよくなかったいう言い方です。
全面的に悪いのではなく、部分的に悪かったという言い方です。

もう一つ、ちがう言い方で電話をすることもありました。

「お家の人が、他の人から相手のけがのことを聞いて、知らなかった、そんなことあったのかと、びっくりしたらいけないと思って、電話いたしました。」

こんな感じです。
これは子供よりも、保護者に対して気をつかっていますとアピールする言い方ですね。
これは、いい言い方で、電話するときに気が楽になりました。

ところが、先日、またちがう言い方を知りました。

「学校でこのようなことを起こさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。」

と、その先生は、必ず伝えるのだそうです。
保護者は、ことが起きた経緯や理由を聞いて、「うちの子がすみません」と思いつつも、自分の子がすべて悪いとは思いたくない。
どこかしらに、責任を求めたくなるものだ。
だからこそ先に、学校で起きたことなので、保護者にそのような思いをさせてしまって申し訳ない、と伝えることが大切だとその先生は言うのです。

うーむ、学校の先生は大変だ!