「話を聞かせる力をつける」「1回しか言わない」は使わない方がよい

昨日、「先生は1回しか言わないよ」という、子どもの聞き方のトレーニング・練習としての手だてを取り上げました。
私も、20代、30代の頃に、時折、思い出したようにやっていました。
しかし、ADHDの子どもがワーキングメモリーが小さいことを知ってから、「先生は1回しか言わないよ」を使うのをやめました。
トレーニングしても、急にワーキングメモリーが大きくなることはないからです。 「できないことを、できるようになれ」というのは酷です。
わかりやすく例えてみれば、「近視の人に、もっと努力してよく見なさい」と指導しているようなものなのです。
発達障害の子どもへの指導の基本は、学習より先に環境を整えることです。
ですから、このように聞き方が苦手な子どもの場合は、
明瞭な発声で
短く言う
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「話を聞かせる力をつける」「大切なこと」と「1回しか言わない」をセットにしない

子どもの「聞くスキル」=能力を、トレーニングや練習によって高めたいという発想は、教師であれば誰しも持つものだと思います。
その一つのやり方として、よく行われているのが、
「先生は1回しか言わないよ」
というものです。
私も、20代・30代の頃に、時折、思い出したようにこれをやっていた記憶があります。
「これは大切なことだから、よく聞いてね。先生は1回しか言わないよ。」
そう言うと、子どもたちは皆、ぐっと身を乗り出して、私の話を一言でも聞き逃すまいとしていました。
でも、このやり方は、ちょっと危険というか、ある意味で矛盾しています。
本当に大切なことで、絶対に理解してほしいことなら、1回だけでなく、何度も言うべきです。 それを「1回しか言わない」というのは、まずいと思うのです。
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「話を聞かせる力をつける」先生には聞こえるよ

発表に際して、どうしても声が小さい子が教室にはいます。 極度に緊張して、いわゆる「蚊の鳴くような声」になってしまうのです。
こうした状態に対して何も指導しないと、聞いている子たちから注文、文句、要望が噴き出してきます。
「聞こえません」「もう一度言ってください」……。
ここで指導をするとしたら、まず、どちらに指導すべきでしょうか。 聞いている子か、それとも話している子か――どちらでしょうか?
これは、もちろん 聞いている子 に対してです。
声が小さい子は、その瞬間、精一杯頑張って発表しているのです。
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