ある発達障害の子が、小学校6年間で、1年間だけ特に心配なく落ち着いて過ごすことができました。
その時の担任の先生は、どんな職人技を使っていたのでしょうか。
楽々かあさんの大場美鈴さんが、その担任の先生の技を記事にしていました。
参考になると思いますので、数回に分けて、紹介します。
(楽々かあさんの大場美鈴さんについては、以前「声かけ変換表」を紹介したことがあります。)
発達ナビ https://h-navi.jp/column/article/35026591
1 大きめの落ち着いた声で、分かりやすい言葉で、ゆっくりひとつひとつ話す
この「大きめの落ち着いた声で、分かりやすい言葉で、ゆっくりひとつひとつ話す」は、分けて考えないといけません。
・大きめ
・落ち着いた
・分かりやすい言葉
・ゆっくり
・ひとつひとつ
これが、大場さんが示した、発達障害の子を落ち着かせる話し方のポイントです。
ひとつひとつ見ていきましょう。
・大きめの声
当たり前のことですが、小さな声だと教室の一番後ろまで届きません。
ここでの、「大きめの声」とは、前にも紹介しましたが、「通る声」のことです。
胸を張った良い姿勢で、一番後ろの子に声を届けましょう。
特に、発達障害の子は、聴覚において、過敏だったり鈍感だったりしますので、他の情報と混ざらないような「大きめの声」は重要です。
・落ち着いた声
落ち着いた声とは、もっと具体的に言うと低い声です。
よく女性の先生で、高いトーンの声で話す先生がいます。
でも、言い方は悪いのですが、キンキンした声で話されると、耳はその声を拒絶します。
聞かないのではなく、「聞こえなく」なってしまうのです。
自分の声のトーンが高いと思ったら、少しトーンを低くすることを意識しましょう。
・分かりやすい言葉を使う
この「分かりやすい言葉を使う」と言うのは、いろいろな意味が考えられます。
難しい語彙を使わずに子どもにもわかる平易な言葉を使う、ということもあるでしょう。
子どもがストンと納得する分かりやすい「説明」をする、ということもあるでしょう。
私は、「いつも同じような、ぶれない言葉を使う」と考えました。
要は、「合い言葉」のように、言葉を使っていくのです。
例えば、ノートを見せに来させる時、「先生に見えるように、ノートを両手でもって」と、毎回同じように言うのです。
・ゆっくりと言う
特に低学年の子は、早口で言われると、脳が情報を処理できず、理解が追いつかなくなってしまいます。
普段は、早口だっていいんです。でも、ここは大切だというときには、ゆっくりと言いましょう。
・ひとつひとつ言う
これは、「指示・発問は短く」と言うことです。
向山洋一先生が示した「簡明の原則」ですね。
ごちゃごちゃと長々とした説明は、大人だって聞きません。
ましてや、発達障害の子が全く聞かないと思います。
「言葉を削る」のです。