昨年まで務めていた学校の卒業式があり、来賓として参加してきました。
卒業式は、小さな学校ですので、1年生から5年生まで在校生全員が参加します。
卒業生も在校生も涙を流す、いい卒業式が終わりました。
来賓は控え室に戻り、式を終えた卒業生が記念撮影をすますのを待つことになります。
出されたお茶を飲みながら待っていると、「渡辺先生。」と3年生担任の先生が私を呼びます。
何か用事かなと廊下に出ると、「3年生の子達が、渡辺先生に会いたいって言うんですよ。来てもらえませんか。」と3年生担任の先生が言います。
3年生は1年生のときに担任していたのです。
28名の1クラスです。1学年1クラス、渡辺学級です。
断る理由はありません。
すぐに、3年生の教室に向かいました。
「こんにちは」とテンション高く教室に入っていくと、「わー、渡辺先生だ。」と大歓声が起こりました。
こういうのは、本当にうれしいです。
子ども達の前に立ち、私はこんなふうに話を始めました。
「今日の卒業式で、泣いた人。」と聞いたのです。すると、半分位の子が手を挙げました。
「そうか、いい卒業式だったね。みんなも、きちんと参加していました。すごいなあ、さすがもうすぐ4年生だ。」
しかし、このクラスはけっこうやんちゃな子が揃っていたので、これで終えることはできません。
続けて、「で、今日の卒業式で、笑った人。」と、声をひそめて聞いたのです。
すると、大きな声で「ハイッ」と返事をして、1/3くらいの子が手を挙げました。
あいかわらずです。
でも、みんな、私を見て話を聞く態勢になっていました。
これで、「つかみ」はOKです。
それから、若干、3年生の勉強や転校した子はいないかなど、子ども達とやりとりをしました。
そして、ふと、1年生の時のことを思い出して、暗唱をさせてみたのです。
「言えるかな。」
3年生の子達は、なんだ、はあっという表情です。
「寿限無」
と、私が子ども達にぶつけるように言うと、子ども達が力強く、すぐに返しました。
「寿限無」
すかさず、
「はいっ」
と私が言います。
あとは、
「寿限無、寿限無の五劫の擦り切れ・・・」
と、一気呵成に、28名の子が声をそろえて、最後まで暗唱したのです。
2年間という時をあけての暗唱です。
しかし、そんな時の流れを感じさせない、力強い暗唱でした。