ネガティブな指示とポジティブな指示は、生み出す力が違います。
その違いを示す、野球選手対象の実験があることを立花龍司氏は「一流の指導力」の中で紹介しています。
第1の実験。
まず、バッターに、
A ヘッドを下げるな
と指示してからスイングさせ、そのスイングのスピードを計測します。
次に、
B ヘッドを立ててスイングしよう
と指示してからスイングさせ、同じくそのスイングのスピードを計測したのです。
すると、なんとBの場合は、
スイングスピードが、約1.25倍も上がった
のです。
Aの場合は、何度やってもスイングスピードは上がりませんでした。
第2の実験。
少年野球で、同じくらいのレベルの選手たちを、10人ずつの2つのチームに分けて守備練習をしました。
一つのチームの選手には、
A エラーしたら試合に出さないぞ
もう一つのチームの選手には、
B バウンドが一番低いところで捕ろう
という指示を出して、同じようにギリギリのところにノックして守備練習をしたのです。
そして、2つのチームの選手がボールを捕球するまでに要した歩数を計測しました。
すると、
Bの指示のチームの方が、平均して2歩、歩数が増えた
のです。
これは、積極的に前に出たり、横に動いたということです。
守備範囲が広くなったのです。
この実験の紹介の最後に、立花氏はこう書いています。
「たった2歩の違いか」と思わないでください。
つねに2歩歩数が多い状態でポジティブに練習をした子どもと、同じ期間をずっと歩数が2歩少ない状態でネガティブに練習をした子どもを比べると、1週間、2週間、1か月、半年、1年と時間が経つに従って、大きな差がつくことになります。
ポジティブな指示を出す指導者・教師の元で学ぶか、ネガティブな指示を出す指導者・教師の元で学ぶかによって、子供の成長は大きく変わってくるのです。