コーチングは二つの方向で考える

コーチングでは、考えたいテーマをクライアントさんが提示して始まりますが、どうも「そのテーマについてだけ考えればよい」というものでもなさそうです。

私は、先生を相手に、クラスの問題をテーマにしてコーチングをしたことが、何度となくりあります。
私は元教師ですので、先生向けにクライアント募集をかけてもいますので、先生相手のセッションも多く、経験値も高いのです。

そのテーマですが、先生たちが担任しているクラスのことがあります。

例えば、クラスのある子に手を焼いていて、信頼関係が作れていない。
例えば、自分のクラスはなんだか元気がない、沈んでる感じがする。

そんなテーマなのです。

しかし、私は、そのようなテーマを解決するには、二つの方向で考えなければならないと思っています。
というか、コーチングしていると二つのことを考えざるを得ないのです。

例えば、クラスのある子と反りが合わないとしましょう。先生に少しばかり反発するようにもなってしまいました。

一つの方向は、そのテーマそのものの解決の方向です。
このテーマに正対して、その子との関係を良くする手だてを考えていきます。
具体的には、資源を探ります。
・その子が好きなこと・得意なことの情報を得て、親しくなる方法はないか
・その子と休み時間に近づく方法はないか
・その子の得意な教科で、その子を褒める方法はないか
・日常的にやりとりする日記のような方法はないか
・これまでにその子と親しくしたことはないか
・・・
とにかく、いろいろな角度から、資源を探っていきます。

しかし、実はこれだけではダメなのです。
その子と親しくなる方法を探っても、先生の心の中を探らなくては、どこかでまたブレーキがかかります。

そうです。
もう一つの方向は、クライアントである先生の心の中で、その子を拒否している、ブロックしていることは何かを探る方向です。

ブロックした理由は、何か。
その子の言動の何かに、先生はひっかかって拒否しているのかもしれません。
その子に邪魔されていると感じる部分があるのかもしれません。

そんな、戸惑いやわだかまりを、心の中に探ってきます。
そして、そんな戸惑いやわだかまりを含めて、そもそも、その子とどんな関係を作っていきたいのか、その子だけでなく受け持つ子とどんな関係を作っていきたいのかを、もう一度問い直していくのです。

このように、コーチングは、テーマだけを取り上げるて考えるのではありません。
テーマを通して、心の奥にあるクライアントの隠された思いについても考えていくのです。