「震災から10年、ふくしまの今とこれから」

昨日、東日本大震災の日の朝刊に、福島県のメッセージが掲載されていました。
調べてみると、 YouTubeにも福島県知事の言葉として提示されていましたので、紹介します。
ただ、2000字を超えるものですので、途中を略して紹介することをお許しください。
ぜひ、元の全文のメッセージを読んでほしいです。

そして、平子七海さんの言葉にあるように、自分を他人を大切にし愛せる世の中になるよう、それぞれが力を尽くしていってもらいたいです。

2021年3月11日のメッセージ「震災から10年、ふくしまの今とこれから」
https://em-tr270.com/L90494/b300/112571

あの日から10年になります。
地震、津波、原発事故は、美しく穏やかだった私たちのふるさとを一変させました。
大切な人との別れや、見えない放射線との戦いがありました。
避難して仮設校舎に通学した子が成長し、成人を迎えています。
他方で、いまだ行方不明のまま、心も体もふるさとに帰れない子がいます。
こうした年月に思いをはせるとき、「もう10年」とも、「まだ10年」とも感じられます。

「十さいの 夏に初めて はかまいり」(東山小学校 石田晴さん・子) 
「思い出を 初めて娘に 見せる夏」(石田知さん・親)

私たちは原発事故による地域社会の分断、風評被害、差別・偏見と10年にわたって戦ってきました。
そして2021年、世界は目に見えないウイルスによる禍(わざわい)の中にあります。
自由やぬくもりを奪われ、不安と息苦しさを感じています。
福島だけではなく、世界全体が困難に直面したのです。
10年前と同様に、当たり前が当たり前では無くなり、本当に大事なものは何なのか、改めて考えさせられています。

「あの日私たちは、波に飲み込まれていく人々の手を掴み取って救うことができなかった。
 だから今度は、社会から分断されゆく人々の手を握り締めて、離さないで。
 みんながもっと自分を、他人を愛せる世界を願っています。そして私自身が、そうでありたい。」
(会津学鳳高校 平子七海さん)
                                 
暗闇の中から一歩ずつ、復興の歩みを進めました。
原発事故による避難指示区域は5分の1に縮小され、道路や鉄道が開通し、学校や病院が再開する中で、避難していた人たちも徐々に戻ってきました。 ロボットや再生可能エネルギーの研究拠点ができ、日本酒や果物をはじめとする県産品が高く評価され、誇りを取り戻してきました。 一方で、避難者はいまだ3万人を超えており、当時の傷が癒されず苦しむ人がいます。
復興が進むにつれ地域差がうまれ、さらなる孤独にさいなまれている人もいます。
時間の経過がもたらす風化や関心の低下があります。
そして廃炉に向けた長い道のりは始まったばかりです。
10年を経て、光と影のコントラストは強まってきたのが現実です。
それでも復興の軌跡の中で強くなれたこと、成長できたこと、結ばれた絆があることも確かです。
震災がなければ出会わなかった方々とのご縁と協働がありました。
県民の皆さん、福島に心を寄せてくださる皆さんのたゆまぬご尽力ご支援に、心から感謝しています。
(中略)
私たちは未来に向けて、次の10年に踏み出します。
ここに、うつくしいふるさとを取り戻し、活力と笑顔あふれるふくしまを築いていくことを、改めて誓います。
これから生まれくる子どもたちにとっても誇りに思える福島を、ともに創り上げていきましょう。

令和3年3月11日 福島県知事 内堀 雅雄