日本教育技術学会会長の向山洋一氏は、技術について、こんなふうに言っています。
「教育にとって技術は、小さいものです。どれだけ名人・達人の域になっても、技術が占める割合は7パーセントか8パーセントでしょう。」
あれだけ技術の重要性を強調している氏が、技術の割合をこんなにも小さく見積もっているのです。
では、教育にとって大きな割合を占めるのは何なのでしょうか?
氏はこう言っているのです。
「自ら伸びる子どもの力に依拠する。伸びる力をさらに伸ばす。決して伸びる力をそがない。」
これを、私なりに解釈すれば「何よりも、子どものやる気をプラスの方向に刺激せよ」だと思います。
現在、若い先生向けに教え方セミナーを開催しています。そして、そのための講座検討も、事前に頻繁に行っています。そこで、私がくり返しメンバーに言っているのは、「熱を伝える」ということなのです。
私達は、講座参加者に、もちろん「授業の技術」「学級経営の技術」を教え、伝えます。しかし、それだけではダメなのです。足りないのです。
それが「熱」です。
こんなやり方をやったら、とっても楽しくて、子ども達から「もっとやって」と言われた。
ある教材を使ったら、子ども達がシーンとして取り組んでいた。
こういうエピソードを、うれしそうに語ってほしいのです。
なかなか学校に来られない子の家を何度も訪れて、半年後、やっと来た。
いつもつまらなそうな顔をしていた女の子が、2月になって日記に「クラスが楽しい」と書いてきた。
こういうエピソードを、しんどかったけれどやりきった表情で語ってほしいのです。
そうでなければ、教師という仕事の素晴らしさは伝わりません。
そして、もし私達の講座を受けて「熱」を感じてもらえたら、その「熱」を子ども達に伝えてほしいと思っています。