The ぶっとんだ

叱責するより、賞賛した方が子どもは伸びると言います。
ですから、先生は「息をするように誉める」ことができればよいのですが、そんな先生はあまりいません。
「なかなか誉めることができない」というか「誉めることを忘れる」という先生が多いのです。

私も「誉めることを忘れる」タイプの先生でした。
しかし、「誉めることを忘れる」タイプの先生であっても、工夫して仕組みを作れば、それなりに誉める回数を増やすことはできるはずです。
そんな私がやっていた仕組みの一つが、「The ぶっとんだ」です。

なんだ、それはと思われるでしょうが、私のクラスの伝統的な誉めるアイテムなのです。
その「The ぶっとんだ」とは何か、です。
「The ぶっとんだ」とは、要は「ミニクッション」なのです。「ミニざぶとん」と言い換えてもいいです。
私のクラスには、その「ミニクッション」が10枚ほどありました。
以下、その使い方です。

帰りの会において、さようならの挨拶をする前、私がおもむろに言います。
「本日の、『The ぶっとんだ』は○○君です。○○君は、今日、友だちが怪我をしたとき、バンドエイドをやさしく貼ってあげていました。先生は、やさしいなあ、えらいなあと思って、ぶっとんでしまいました。だから、『The ぶっとんだ』をあげます。明日、一日それを敷いて座っていて下さい。」
他の子は、みんな、やんやと拍手をする。その子は照れくさそうに、ミニクッション(The ぶっとんだ)を受け取るのでした。

私は、帰りの会において、だいたい3枚くらいの「The ぶっとんだ」をあげることに決めていました。ということは、3人を誉めて帰すということになります。
その際のポイントは、目立たない子、おとなしい子を中心にあげるということでした。あと、よくわからないけどおもしろかった(?)子にもあげていました。

「帰りの会→3名誉める」という仕組みを作ると、そのうち、子ども達も期待してくるようになります。すると、私も「今日は誰を誉めようかな」と常に意識を働かせているようになるのです。
そう、「The ぶっとんだ」をあげる一番のメリットは、「子どもたちを誉める思考回路が、自分の脳にできあがる」ことなのです。

なお「一筆箋」を子どもに書くという先生もいます。私もやりました。これも、誉めるアイテムです。